7.「Sorbet」
とあるホテルのバスタブで、切り裂かれた死体が見つかった。
チェサピークの切り裂き魔との関連を疑うジャックによって、ウィルはまたも現場に連れ出されてしまう。
(ウィル、そろそろ「い い か げ ん に し ろ」って怒っても良い頃だと思うぜ…)
そして、恒例の「なりきり分析」。
ウィルの見立てでは、「犯人は被害者の命を救おうとしていた。チェサピークの切り裂き魔とは別人」。
救おうとしながら「傷口ガバァしてダイレクト心臓マッサージする」犯人も超異常なサイコパスには違いありませんが、まあ博士のはずないでしょ。博士ならただのグロ犯行はしないし、臓器も最高級料理にするし。
一方その頃、レクター博士はオペラの演奏会にやって来ていました。
音楽にも造詣が深いであろう博士は、素晴らしい演奏を聴いて目を潤ませる。
そんな博士の背後で、患者であるフランクリンが博士をガン見。もうオペラなんか聴いていない。先生とお話ししたくてしょうがない様子。(まあ私も博士とオペラなら博士を見るけど)
演奏会後、上品マダムなご友人と歓談する博士。
(ところでこの博士の口元かわいくないですか???)
「またお食事会を開いてくださらないの?」
とマダムの問いに、
「良いものが入ったらね。向こうから来るのを待たなきゃいけない」
と返すレクター博士。やっぱり博士は無差別に人間を殺すわけではないからね。
続く言葉は、
「食事は生き物ですよ。命を食すのです」
このセリフはまさに「ハンニバル・ザ・カニバル」を表しているなあ。
命を奪い、食べ、そして生きるという本質的な人間の残虐性は恥ずべきことではなく、博士にとっては輝いている芸術なんですかね。だからあんなに美しく見えるのかな(訳・レクター博士素敵)
ところで、例の博士と友達になりたいフランクリンというぽっちゃりくん。
悪い奴ではないんですが……やっぱり病んでいるのか、ストーカー気質な部分があってなかなかに鬱陶しい。演奏会に来たのも、博士の行動を予測してのことでした。
博士も表情には出さないが、フランクリンを「無礼な奴」に分類しているでしょう。
「君を精神的に支えることはできるが、友人ではない」
と、一定の距離を保つ発言をします。
ふ、フランクリン気をつけて……あなたが友達になりたがっているその人は、そのうちあなたを材料として見るわ……!!
その後、外出した博士はとある家を訪れる。
出てきたのは……
すっスカリイイイィィーーー!!??!
あのXファイルのスカリー捜査官役で有名なジリアンさんですよ!!
うっわああああ素敵な大人になって!!なんだか奇跡の再会をした気分!!!
ハンニバルでの役どころは、どうやら「ベデリア」という名の「レクター博士の精神科医」といったところのよう。
博士が彼女を尊敬しているのが言葉の端々からわかり、そして彼女はそれを承知の上であしらっている。
このドラマでは博士と対等な人物は今まで登場していなかったのですが、ベデリアはどうやら完全に対等な立場のようです。なんだか新鮮だ~~~!
ベデリアは博士のことを
「まるでよくできた仮面をつけているみたい。いえ、仮面をつけているというより、人の皮を被っているよう」
と表現する。その言葉に博士が何を思ったのかはわからない。
常に微笑みをたたえた人の皮を被って、本音を表情には出さないから……。
「孤独なはずよ」
と言われた博士は「友人ならいる。君とも親しい」と微笑みますが、
「あなたは患者で仕事仲間だけど、友人じゃない」
と先ほどのフランクリンに対しての言葉を、そのままベデリアに返されてしまう。
「本当のあなたはわかっているし、あなたが好きよ」
という発言のほうも気に入って印象に残っている!
率直な言葉で(視聴者を)惑わそうとするのはスカリーと同じだね!小悪魔め!!!好き!!!
(そしてウィルたちの捜査などが続く数日があり、)再びフランクリンの診察をする博士。その中で少し印象的なセリフ。
レクター「孤独が怖い。だろ?」
フランクリン「孤独が、傷つくのが怖い。孤独を感じると、ズキンと痛むんです。でしょ?」
フランクリン診察後、ウィルの診察の時間になります。
しかし、約束の時間になってもウィルは姿を現さない。
大きな部屋で、一人ポツンと座る博士……。
/ズキン\
このシーンは単純に「博士もウィルなど友人がいないと孤独を感じる」と受け取っていいのでしょうか?
博士も人間とはいえど、それを超越した領域にいるような印象が強いので、よくわからなくなる……。(私も博士の仮面に惑わされている一人かな)
一方その頃、精神的に疲弊しきったウィルは、一種の精神世界でアビゲイルと対面していました。――アビゲイルの父である、ミネソタのモズとして。
幻想の中のアビゲイルも超絶美少女でした!
そんなウィルを迎えに来る博士。
どうやらウィルは目を開けたまま、何時間も意識だけ飛んでいたらしい。
も、もう相当ヤバイ精神状態になっているよウィル。本来なら、誰がなんと言おうとワンコと一緒に田舎に隠居すべきだよ……。
ウィルは、精神疲弊の原因の一つである「チェサピークの切り裂き魔事件」の分析を博士に問います。(犯人である博士に問うなんて、なんというブラックジョーク)
「言葉は生きている。主張も、意図もある」
と前置きしながら、「犯人は臓器移植でもするのかな」などとミスリードしてみる博士。
そう、言葉には意図がある。
それにしても、ウィルのチェサピークの切り裂き魔に対する分析は、かなり核心をついている。
「被害者を敵だなんて思っていない。害虫だから駆除した。無礼な行いへの報いであり、遺体を切り刻んで晒すことで辱めている」
という分析はまさにレクター博士の心理であり、博士もウィルの分析能力に改めて感心させられたことでしょう。
レクター「臓器をもつに値しないと考えているのかな」
ウィル「……そうかも……」
は笑った。そう思ってるんですね、博士。
ウィルが完璧な分析をしたことへのご褒美として、本音を主張してあげたのでしょうか。
その後。チェサピークの切り裂き魔による犯行は、どんどん加速してゆく。
はい、ここで犯行の手順をおさらいしよう。
~博士のクッキングタイム~
1、レシピを用意します。
2、材料リスト(=無礼な奴の名刺)をチェーック。
(博士に「名刺をいただけますか」と言われたら材料候補の証。無礼を反省し、博士に食べていただけることを光栄に思いましょう)
3、材料を狩りに行きます。優雅に近づきましょう。
4、レシピ通りに、材料を捌いたりミキサーにかけたり下ごしらえして焼いたりしよう!!
……さ、さすが博士、俺たちにできないことを平然と(しかも優雅に美しく)やってのけるゥ!!
残酷なシーンでありながら、博士がテンポ良くクッキングしてくれるおかげで正直かなりワクワクしました。背後で流れるオペラと合わさり、これぞカニバリズムの真骨頂!という感じでいっそユーモラスですらあるんです。
そんな博士のクッキングのおかげで、FBIの解剖室は切り裂かれて臓器のない遺体がズラーリ。
ウィルたちも頭を抱えます。
今までは、「立て続けに三人殺し、しばらく鳴りを潜める」という周期だったはず。今回はやけに多いぞ!?
犯人の目的はいったい何なんだろう…?博士の言ってた通り、臓器売買でもするのか?でも……。
考えれば考えるほど謎が深まるばかり。
でも、謎の答えは単純です。
博士は「お友達を呼んでパーティーしたかった」!!
もおおおおお「またお食事会を開いて下さらないの?」なんて言うからだよ!
ちょうど「サミシイナー」状態だった博士ったら、その気になって「よぅし、久しぶりにやるか!」とばかりに張り切っちゃったじゃないの!!!(博士カワイイ)
ま、もちろんジャックたち捜査班に対する嫌がらせというのも「たくさんある理由の一つだ」なんでしょうけどね。
「食べる前に確認しておきます。ベジタリアンはいませんよね?――ボナペティ」
このセリフ、かっこよすぎか!!!マネする機会がないがマネしたくなる!!
それにしても、こんなに多くの方々がそうと知らずにバリエーション豊富な人肉を食べてしまうんですね。
もしもバレたときに、どう感じるやら……。
というか、そろそろウィルが「レクター博士=ハンニバル・ザ・カニバル(人食いハンニバル)」であるという真相に気付くんじゃないかとドキドキものです。
チェサピークの切り裂き魔に、心理だけじゃなく「医学の知識がある」などの条件も当てはまっていますし、ウィルも今回のエピソードの中で博士の手術を目撃することになる。
今後も目が離せない〜〜〜!!
やはりこのエピソードでの博士は、「孤独」「友人」を意識していたように思えます。
ベデリアによる博士分析でも「孤独」というワードが使われたり、診察に来るはずだった「友人」のウィルが来ないことでズキンとしたり。
そして自身の孤独を否定するかのように、多くの友人を招いてパーティーを開いた。
しかし「人の皮を被った偽りの顔」で接する限り、博士の孤独が埋められることはないのかもしれない……。
余談
スパナチュ目当てで買った「movie star」という雑誌から、レクター博士役のマッツ・ミケルセンのカレンダーを探し当てて飾るほどドハマリしてる私。
今日も今日とて画像検索!そして、とある画像をみてふっと気づく。
……ん?この眼帯のマッツさん見たことある……。
ンンン映画館でみたような?っていうかこれうちにBlu-rayあるよね!?ドコダーー
そして発見。
「三銃士~王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船~」
ロクフォール隊長じゃん……かなり目立つ役どころじゃん……。
私、映画館でマッツさん見たことあったのか…今だったら映画館で拝んでいるところだわ…。
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