かつて、ウィストールは人間だった。
永遠の概念を持つ魔物「黄金の昼下がり」――通称・アウルと契約をするまでは。
この物語は、悠久の時を経た魔術師ウィストールと、従者アウルの旅の記録。
ウィストール
元人間の魔術師。
現在は「記録」の概念を持つ魔物へと変生を遂げている。
世界に7つのみ存在する「世界を破壊可能な力を持つもの」の2番目。
アウル
ウィストールの最強ワガママ従者。「永遠」の概念を持つ魔物。
世界に7つのみ存在する「世界を破壊可能な力を持つもの」の7番目。
変身が得意で、その姿は男にも女にも可変。
記録1 オーウェン・マナー
3452年目のこと。魔術師ウィストールと使い魔アウルは、極寒のホロトト地方で奇妙な屋敷に迷い込む。そこは人ならざるものの屋敷「オーウェンマナー」だった。
進むたびに様相を変える謎多き屋敷から脱出しようとするが……。
記録2 ダンス・ウィズ・トート
2000年目のこと。死の概念を持つ“喪服の少年”は言った。
「死(わたし)は七日後に、バーネンブルックに住む人々の六割を迎えます」
七日後に何かが起こり、大勢が死ぬということだ。ウィストールとアウルは、バーネンブルックの最後の七日間を過ごすことにした。
記録3 ワイルドチャイルド
2005年目のこと。対価を払えばあらゆる問いに答えてくれる“鏡の中の王子”に出会ったウィストールたち。ところが数日後、アウルがくだらない質問をしすぎたせいで催促状が届いてしまった。対価として求められたのは「妖精の美酒」。それを手に入れるために、ウィストール、アウル、そしてティルダは恐ろしき妖精たちの宴に向かおうとする――。
記録4 パンプキンホラーナイト
2015年目のこと。ヴィックスベルではもうすぐエラウィックが始まる。子どもたちが仮装してお菓子を集める祭りだ。そんな中、「玄関先のカボチャ飾りが誰かに割られてしまった」という話を聞く。ウィストールたちはご近所トラブルのつもりで犯人を捕まえようと張り込むが、現れたのは斧を持った首なし男だった。どうやら「エラウィックの首切り役人」という七十年前の怪事件に関係があるらしく――?
机の上に、インクで汚れた紙が散っている。どうやら誰かの日記のようだ。
記録を読む上では必須の情報は書かれていないだろう。
しかし、過去を詳しく知るには良いかもしれない……。
インクにまみれた紙片1
ヴィクトールは多重人格者であり、ウィストールは彼の人格の中のひとりにすぎなかった。そんな彼らは、美しく奔放な少女アリソンと、悪魔のような少年ミラに出会い、運命を狂わされてゆく。ウィストールの青春時代と、ヴィクトール、ミラ、アリソンとの関係が明かされる断片。
インクにまみれた紙片2 更新中
ヴィクトールは気付いてしまった。愛しい妻と理想の生活を送っていたはずが、それはすべて「黄金の昼下がり」という魔物の見せる幻であることに。幻の世界から脱出を図ろうにも、魔物はそれを許さなかった。一方ウィストールは、ヴィクトールを救い出すためにとある作戦を実行しようとする――。それは、ウィストールが人間であった頃のお話。黄金の昼下がり・アウルと出会い、契約を結ぶまでの物語。